色彩文化クイズ 全5問|定式幕・青信号・オラニエ・日の丸・貝紫
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色の呼び名や使われ方は、その土地の歴史とともに決まってきました。法令の条文、劇場の幕、王家の名前から、色の来歴をたどる5問です。
Q1. 歌舞伎の舞台で、開演前と終演時に引かれる「定式幕(じょうしきまく)」。3色の縦縞で構成されています。その3色の組み合わせは?
- A. 黒・柿色・萌葱色
- B. 黒・紅色・白
- C. 藍色・柿色・白
- D. 黒・紫・金色
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正解: A(黒・柿色・萌葱色)
柿色は赤みをおびた茶(■ #A45A2A 前後)、萌葱色は青みの濃い緑(■ #006E54 前後)です。3色とも草木や鉱物から染められる色で、江戸時代の芝居小屋が用意できる染料の範囲に収まります。
並び順は劇場ごとに決まっています。国立劇場は左から黒・萌葱色・柿色、歌舞伎座は左から黒・柿色・萌葱色です。幕の並びを見れば、どの劇場かが判別できます。
Q2. 日本の信号機の「進め」を示す灯火は、実際には緑色に見えます。法令の条文では、この灯火は何色と書かれているでしょうか。
- A. 緑色の灯火
- B. 青色の灯火
- C. 青緑色の灯火
- D. 色の指定はない
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正解: B(青色の灯火)
道路交通法施行令 第二条第一項の表に、信号の種類として「青色の灯火」と記されています。同じ表には「黄色の灯火」「赤色の灯火」「青色の灯火の矢印」も並んでいます。日本語の「青」は古くから緑の範囲を含んでいて、青葉・青菜・青リンゴ・青虫にその用法が残っています。「青信号」は話し言葉の略称ではなく、条文の表記そのものです。
色を表す日本語のうち、語尾に「い」を直接つけられるのは赤い・青い・白い・黒いの4語だけです。この4語は、古い時代から色名として使われてきた言葉にあたります。緑・紫・茶などは「緑色の」のように「色の」を挟んで使います。
Q3. サッカーのオランダ代表は、オレンジ色のユニフォームで知られています。国旗は赤・白・青の3色で、オレンジは含まれていません。この色が国の色になっている理由は?
- A. 名産の柑橘(オレンジ)にちなんだもの
- B. 王家の名前が「オラニエ(Oranje)」だから
- C. 干拓地の土の色に由来するもの
- D. 独立戦争のときに最も安く手に入る染料だったから
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正解: B(王家の名前が「オラニエ(Oranje)」だから)
オランダ王家の家名はオラニエ=ナッサウ(Oranje-Nassau)です。「オラニエ」は南フランスにあるオランジュ(Orange)という領地の名に由来します。オランジュは1163年以来シャロン家が治めた公領で、1544年にウィレム・ファン・ナッサウ(1533-1584)がこの地を相続し、以後「オラニエ公ウィレム」と呼ばれました。
順序は、地名が先、家名が次、色があとです。家名の音が果物と色のオレンジと重なって、国を代表する色として定着しました。
Q4. 1999年に成立した「国旗及び国歌に関する法律」。日章(日の丸の丸の部分)の色について、この法律はどこまで定めているでしょうか。
- A. 「紅色」という色名だけを定めている
- B. マンセル値で指定している
- C. CMYK値で指定している
- D. 色に関する規定はない
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正解: A(「紅色」という色名だけを定めている)
法律の別記第一は、彩色として「地 白色」「日章 紅色」と定めています。色の指定はこの色名までで、数値による指定は含まれていません。
寸法は数値で決まっています。縦は横の3分の2、日章の直径は縦の5分の3、日章の中心は旗の中心です。形は数字で、色は言葉で定めるという構成になっています。
この法律の附則には「日章旗の制式の特例」があります。当分の間、縦を横の10分の7とし、日章の中心を旗の中心から旗竿側へ横の長さの100分の1ずらした位置にできる、という内容です。特例の対象は寸法と位置で、色は別記第一の「紅色」のままです。
色名だけの規定は、色を再現する側に幅を残します。同じ「紅色」でも、布に染めるか、紙に刷るか、画面に表示するかで見え方は変わります。印刷物やWebで国旗を扱うときは、法律の数値ではなく、発注先や媒体ごとの指定を確認する必要があります。
Q5. 古代地中海世界で、王や高位の聖職者だけが身につけた「ティリアンパープル(貝紫)」。この染料は何から採られたでしょうか。
- A. 地中海沿岸に育つ植物の根
- B. 海にすむ巻貝の分泌液
- C. 火山灰に含まれる鉱物
- D. 樹木につくカイガラムシ
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正解: B(海にすむ巻貝の分泌液)
アクキガイ科の巻貝がもつ鰓下腺(さいかせん)という器官から取れる分泌液を使います。ローマのプリニウスは『博物誌』第9巻に、貝の種類、分泌液を含む器官の取り出し方、羊毛を染める工程までを書き残しました。
この分泌液に含まれるのは無色の前駆物質で、光と酸素にあたることで紫の色素(6,6′-ジブロモインジゴ)に変わります。染料の色は、貝の中で見えているものではありません。
選択肢Dのカイガラムシは、赤の染料(コチニール/臙脂)の原料です。
この面の色が、ティリアンパープルの色味の一例(#66023C 前後)です。赤みをおびた濃い紫です。プリニウスは、1個の貝から取れる分泌液をごく少量と記しています。貝を1個ずつ開けて器官を取り出す作業が必要で、この手間が、身につけられる人を限定しました。
参考・引用元
- 道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)第二条第一項 — e-Gov法令検索
- 国旗及び国歌に関する法律(平成11年法律第127号)別記第一・附則 — e-Gov法令検索
- 独立行政法人 日本芸術文化振興会 文化デジタルライブラリー「歌舞伎事典:定式幕」 — 該当ページ
- オランダ王室公式サイト Het Koninklijk Huis「Oranje-Nassau」 — 該当ページ
- Pliny the Elder, The Natural History, Book 9, Chap. 60–62(John Bostock & H. T. Riley 訳) — Perseus Digital Library
- Cooksey, C. J. (2001) "Tyrian Purple: 6,6′-Dibromoindigo and Related Compounds", Molecules 6(9), 736-769 — MDPI