~自然から引き出した本当の色合いを求めて~ マイトデザインワークス様
今回ご紹介するのは、合成染料を使用せず天然の素材だけで染め上げる、本当の草木染めを企画・染色している株式会社マイトデザインワークス様です。
東京都台東区蔵前にあるアトリエにお邪魔して、代表の小室真以人さんとスタッフの中村さんに草木染めに対する思いをお伺いしてきました。
東京都台東区蔵前にあるアトリエにお邪魔して、代表の小室真以人さんとスタッフの中村さんに草木染めに対する思いをお伺いしてきました。
マイトデザインワークス様の取り組み
>>株式会社マイトデザインワークスのコンセプトはこちら
~株式会社マイトデザインワークス リーフレットより~多くのモノであふれている時代。
そんな時代だからこそ、日本の伝統や職人さんの技術、そして様々な恵みを与えてくれる自然を大切にしたものづくりをしたいと思いました。日本には素晴らしい作り手がたくさんいます。染屋、紡績屋、整理屋、加工屋、編屋、織屋、縫製屋など、糸偏と呼ばれる繊維業はもともと分業でお互いを支え、生き残ってきました。私たちの製品もまた日本各地の作り手に支えられ出来上がります。
全国各地へ直接足を運び、職人さんの顔をみて、声をきくところが私たちのものづくりの始まり。自社のアイテムをただ生産するだけではなく産業全体の活性化を目標に、何かできることはないかと考えながら活動をしています。
また安価で安定性の高い化学繊維や化学染料は、制作者にとってとても便利なもので、古来より培われてきた自然による恵みを大切にしたものづくりはどんどん衰退していってしまいました。確かに天然素材は毛玉ができたり、時によれたりもします。取り扱いが難しいと感じる方もいるでしょう。それでも、天然のものには化学的なものとは違った風合いや暖かさがあり、それがとても心地良くて。季節の移ろいを目でみて楽しむように、肌でも直接感じる。するとしだいに愛着がわいてきて、毎日の生活がより一層たのしくなります。
自然にもヒトにも優しくありたい。使い手と共に歳を重ねていけるようなものを作りたい。ものづくりに関わるすべての人たちが幸せであってほしい。そんな思いを込めて、私たちは日々ものづくりをしています。
代表の小室さんは笑顔が素敵な明るいお人柄。多くの繊維関連事業者と協働されていることが伝わってきます。お話が面白く次々と聞きたいことが湧いてきたのですが、話を進める中で印象に残った言葉は次のようなものでした。
「(自然の)色を留める」
「(その色に)ストーリーがある」
「季節で色が変わる、光で色が変わる」
「自然でしか出せないもの(を求める)」
草木染めは染める季節、染め方によって色合い・風合いが異なる。その時に出た色にはその時のストーリーがあり、そのストーリーが色によって留められている。
例えば茜色は茜の根を使って染められた色。染める回数や染め方によってその時に出る色が異なる「作り方のストーリー」、あるいは想いを込めて染められた色には感じるものが違う「作り手のストーリー」。それらのストーリーをもってして色が完成する。お話を聴いているとそのように感じました。
近現代の工業の発展により、日本の伝統的な染め方や日本人が感じてきたストーリーが減っていく中、マイトデザインワークス様は製品ブランドを通じて、色が持つ魅力・ストーリーを維持・発展するべく活動されています。
東京蔵前のアトリエ
蔵前の本店兼アトリエは落ち着いた雰囲気で、スタッフの中村さんが手際よく仕事をされている様子が印象的でした。
お邪魔している間、はじめてご来店になられた女性が商品・色を迷っていると、中村さんがその方に寄り添うように草木染めや商品の使い方を伝えられていて、その方も安心してお買い上げになられていました。
草木染めの暖かさ、安心感を提供するマイトデザインワークス様のブランドを垣間見たひと時でした。
お店の奥には染め場があり、現役バリバリの機械が置いてあります。藍染のすくもや灰汁もあり、手作業の温かみが伝わってきます。
お邪魔している間、はじめてご来店になられた女性が商品・色を迷っていると、中村さんがその方に寄り添うように草木染めや商品の使い方を伝えられていて、その方も安心してお買い上げになられていました。
草木染めの暖かさ、安心感を提供するマイトデザインワークス様のブランドを垣間見たひと時でした。
お店の奥には染め場があり、現役バリバリの機械が置いてあります。藍染のすくもや灰汁もあり、手作業の温かみが伝わってきます。
現在、製品は蔵前本店、2k540店(台東区上野)、東急プラザ渋谷店、上野松坂屋店の直営4店舗の他、全国のショップ、百貨店で取り扱われています(詳しくはこちら)。お近くの方はぜひ自然の色を手に取って色合い・風合いを感じてほしいと思います。
草木染めセット
オンラインショップでも草木染めの製品を購入することができます。トップスやワンピースをはじめ、ストールやマスク・雑貨など様々な商品が並んでいます。
>>オンラインショップ
草木染めを家庭でやってみたいという方には、「家で染める草木染めキット ‐リネンコットンストールー(6color)」がお勧めです。指示書付きで安心して本格的な草木染めを行うことができます。
>>オンラインショップ
草木染めを家庭でやってみたいという方には、「家で染める草木染めキット ‐リネンコットンストールー(6color)」がお勧めです。指示書付きで安心して本格的な草木染めを行うことができます。
後記
色彩にはカラーデザインはもとより、色が心に作用する心理的側面、洞窟壁画に始まる文化・歴史の側面の魅力があります。
色はあいまいで自由な存在です。例えば藍色と言えば、JIS(日本工業規格)の慣用色名に登録され、マンセル値2PB 3/5と決められていますが、実際製品となれば素材や立体感で一色にまとめることはなく、また染め方によっても色が異なります。
「玉子色」という色名は江戸時代より使われ始めたとされますが、当時の玉子色と現代の玉子色では色が違うようです。結局、色には時代や文化による「ゆれ」「むら」があり、見る人の色覚特性でも変わってくるために、一色一定の色がありえません。
デジタル化が進み、ディスプレイに画一的な色が並ぶ時代になりました。そのような時代に愉しみは様々ですが、太陽光・草木から得られる自然の色に時間をかけて触れ、その背景ストーリー、心への影響、文化を愉しむ機会が増えることで、暮らし愉しい日々が社会に広がってほしいと思います。
色はあいまいで自由な存在です。例えば藍色と言えば、JIS(日本工業規格)の慣用色名に登録され、マンセル値2PB 3/5と決められていますが、実際製品となれば素材や立体感で一色にまとめることはなく、また染め方によっても色が異なります。
「玉子色」という色名は江戸時代より使われ始めたとされますが、当時の玉子色と現代の玉子色では色が違うようです。結局、色には時代や文化による「ゆれ」「むら」があり、見る人の色覚特性でも変わってくるために、一色一定の色がありえません。
デジタル化が進み、ディスプレイに画一的な色が並ぶ時代になりました。そのような時代に愉しみは様々ですが、太陽光・草木から得られる自然の色に時間をかけて触れ、その背景ストーリー、心への影響、文化を愉しむ機会が増えることで、暮らし愉しい日々が社会に広がってほしいと思います。
ライター・編集者
カラーオン Mitsuru
カラーコーディネーター自転車店勤務時代にウェブデザイン・チラシデザインの制作、オリジナルデザイン自転車(TVドラマでも使用)の企画を担当したことから色彩の世界へ。 「色彩が社会を元気にする!」をモットーに、多くの人が色・コーディネート・デザインを楽しめるようにコンテンツをご提供しています。